Column

ワークドライブラウンジ メンバーインタビュー

2024.09.25 up

経営者/社員/他社人材/外部の専門プロ人材(ドライバー)が、それぞれ対等な関係で相互に学び合い、成長し、事業をドライブさせる場として、6月で半年を迎えたワークドライブラウンジ(WDL:WORK DRIVE LOUNGE)
初期よりご参加いただいている、株式会社マスコール代表取締役社長の境氏に、これまでを振り返りつつ、WDLについて語っていただきました。

話し手:境 順子(株式会社マスコール代表取締役社長)
聞き手:細野真悟(WDL発起人)、井尾佐和子(WDL発起人)
構成・執筆:片倉修也(WDL事務局)

「ここに救われて、新しい経営スタイルを示してもらいました」

「ガスで未来を創る。」として、昭和33年創業以来、高品質な工業ガスの安定供給を事業基盤に、歩んでこられた株式会社マスコール
お父様でもある創業者の想いを継ぎながら、持続可能な社会づくりを掲げ、従来の鉄鋼、化学、機械、自動車業界だけでなく、化粧品業界や食品業界との新しい取り組みにもチャレンジし、ガスと会社の未来に向かって日々奮闘される代表取締役社長の境氏に、何を期待してWDLに参加し、どんな変化があったのかを伺いました。

これが未来のあるべき場所
――ワークドライブラウンジ(以下WDL)に参加を決めた理由は。

当時、経営者として私自身が切羽詰まった状況でした。柔軟な打開策が必要で細野さんにコンサルティングのお願いをするつもりでした。すると細野さんから「総合病院のように多様な専門性を持ったメンバーに診断してもらえる」場だとここに誘われたんです。最初は半信半疑だったんですけど、実際に(本格スタート前のプレ会に)参加してみてその可能性に賭けてみようと思いました。

――なぜそう思われたのですか?
このコミュニティの魅力に強く惹かれました。単なるビジネス交流の場ではなく、人間性や社会の変革に対する深い理解と共感が流れている気がしていて、そこに触れたかったんだと思います。「わからなさ」に留まる力が強く、それを受容するエネルギーに満ち溢れていて、そこに向き合う本気度を感じると同時に、それを受け入れる力強さに感動のあまり涙が出てきたことを覚えています。経営者として現実はものすごく焦っている中で、いつも(現実の焦りと信じたい未来の)狭間で苦しんでいました。(経営としては)事業上で集中するものを決めて、他を切り捨てていかないと成長しない。でも、それだけだと会社も自分もどこか衰退していく感覚があって、どうしたらいいかわからなかった。わからない、解決できないという不確かな中に、本気で留まろうとするWDLと自分を重ね合わせていたのだと思います。本能と直感が連れてきたという感じでしょうか。これが未来のあるべき場所だと確信し、中学生の息子も一度この場に連れてきました。
癒やされ、経営者の自分を拡張する

――実際に参加されてみていかがでしたか?
ものすごく救われました。参加当初は経営的にも緊張感があったので、問題解決、トラブルシューティングで助けられた部分はもちろんあります。やるべきことが整理できず、混乱していた中で「社長自身が整理できていない」ということを、他を切り捨てずに、スキル補強も含めて解決に当たってくれました。課題解決に集中しきらなければいけないのは間違いないのですが、今の(混乱した)状況を否定せず、でも私という個人を切り離さずに見てもらえる。ということが本当にありがたかったです。

――経営的にシビアな状況下にあって、大阪からわざわざご参加されることは一見非合理な意思決定のように思います。そこについてはいかがでしょうか?
はい、普通であれば移動時間を現場で課題解決にあたったり、(普段全然寝られていなかったので)寝たりした方がいいはずですよね。東京に行く理由を社員にどう説明したらいいのか不安になることもありました。でも、そうしなかった。大阪からわざわざ新幹線で東京まで行くという選択、その行為自体に自分として癒やされていたことに途中で気が付きました。

――他にはどのような気付きや変化がありましたか?
餅は餅屋という価値を再認識しました。ドライバー(専門プロ人材)の皆さんから、ダイレクトな問いや知見が返ってくること、しかもそれがリアルタイムで同時に複数分野からいただけることがとても価値がありましたし、勉強になりました。これまで中小企業の経営者は一人で何でもやらないといけないと思っていましたが、大企業や各専門分野で活躍してきた方々の知見がとても学びになっています。特に、人や組織のマネジメントにも専門性や知見があって、それを取り入れながら経営していくということを初めて体験したことは大きかったです。試行錯誤していた中で新しい経営スタイルを示していただきました。

――通常、ビジネスにおいて他社や他人のリソースを気軽に借りることは難しいですが、それが信頼し合えるコミュニティであれば可能になります。これは我々もチャレンジでした。
気軽に相談しつつ、自分のことを本当に思ってくれている、企業メンバーの方も、専門プロ人材のドライバーの方も、当事者意識を持ちながら関わってくれることが、とても新鮮な驚きであり有り難さであり、楽しさでした。全部自分で背負わなければいけないと思っていましたが、そんな自分を拡張できたと思います。頼れる人がたくさんいることがこんなにも心強いんだと実感しています。

――社員との関係性に変化はありましたか?
まず大前提として、自分と会社を以前ほど分離しなくて良くなりました。以前は新しいことをやろうとすると、社内でも拒否反応が出たり否定されたりすることもありましたが、今は自分のあり方が変わったのか、意外と受け入れてくれる人が増えてきた印象があります。私自身の周囲への感謝も増しています。社内には「自分が正解だと思っていることを、あえて崩しに行っているのがWDLだ」と伝えているんです。例えば、営業が営業として信じていることではないところに、顧客との新しい関わりがあるのではないかなと思っています。社長としての自分がそれ(自分を崩すこと)を率先してやっていることで、社員がもっと変化を楽しむようになってくれたら嬉しいです。
今の世界の外の可能性

――このコミュニティをどのように外部に伝えていったら良いと思いますか?
何かの枠や、役割に没入してやり切ることを求められるのが現代だと思います。でも実際のところ、人はいろんな役割を持っているはずなんです。私であれば、仕事をしながらも(母として)どこかで食事やスーパーでの買い出しのことを考えている自分がいます。WDLにはビジネスに没入して成果を出していながら、課題解決だけでない、(いろいろな役割が混在し)わからない中に留まり続ける選択をしている人たちがいることが大きな魅力です。一方で、ここに来る人たちを意図的にデザインすることはできないのではないかとも思います。仮に学問的に、あるいは得られる価値を明確化して、ここにたどり着いたとしても(何かを自動的に与えてもらえるわけではなく)結局その方の中に何がどう残るか次第の場だと思います。そして、ここに集まる方々は日々ビジネスの最前線で戦いながらも、そういった感覚を持ち続けたいと思っているような気がしています。

――今後のWDLにどんな期待がありますか?
無理やり誰かを誘う場ではないと思いますから、思わぬタイミングで出会ってしまった、知ってしまった方が交わることで、また新しいことが生まれていくのだと思いますし、それを期待しています。逆に言うと”わかっている人たち”が集まりすぎると、それはそれで意外性がなくなりそうでもあり、地域、職種、規模などなど、参加される方々の多様性に期待したいです。あえて言うのであれば、私のように地方でも諦めずに頑張っている経営者の方は良いのかもしれないですね。

――これから参加される方にメッセージはありますか?
今、私自身もコミュニティ活動として、社員にも取引先にも開いたスナックをやっています。中にはわざわざ菓子折りを持って(ビジネス文脈100%で)いらっしゃる方がいるのですが、「そういう場じゃないんですよ〜笑」と伝えています。なんとなくですが、そういう方には良い体験・場になる気がします。あとは、自分の今の世界の外の可能性を見たくなった時。やみくもにそれを満たせる場所を探しても、なかなか見つかるものではないんですよね。私は「それが東京の参宮橋にあるよ!」と伝えたいです。ぜひ一度体験に来ていただきたいなと思います。

――嬉しい言葉です。
未来は不確かだと思います。でも、その不確かさを楽しみながら、一緒に新しい未知を切りひらいていく、そんな人たちが集う場所がここだと感じています。

――ありがとうございました。

【編集後記】事務局 片倉修也
抽象度が高すぎてまとめきれないですね…苦笑 と戸惑いながらも、温かさを感じられる言葉でこれまでの歩みを丁寧に振り返ってくださった境さん。

詳細はお伝えできませんが、WDL参加当初からずっと大きな経営課題を抱えていらっしゃり、各企業メンバーやドライバーが、毎回のセッションに本気で腕まくりをし、境さんと共にあり続けたことと合わせて、非常に印象深く、奥行きのあるインタビューになりました。

境さんがインタビューの最後に「ポジティブ・ケイパビリティ(問題解決をする力)とネガティブ・ケイパビリティ(解決できない状況にあえて留まり続ける力)は二項対立でもないと思います。きっと統合されているものだと思います」とおっしゃっていましたが、体感を伴った一つの真実だと思います。

また、我々も境さんの経営に対する向き合い方や目指している世界観から、自らに引き付け、受け取るものが多々あったことも、忘れずに付け加えておきます。

大きなハードルを超え、新たなチャレンジフェーズに突入されていくマスコール社と境さんの歩みを、今後も一緒に見つめ続けていけたらと思います。

WDLにご興味のある企業様はぜひ以下よりお問い合わせください。
無料の体験会をご案内させていただきます。

【問い合わせ先】
フォームからのお問い合わせ:こちら
メールでのお問い合わせ:wdl@youbeyou.co.jp