Column

自然農法 無の会へ

2024.11.26 up

祈りの心

2024.11.8-9

自然農法無の会さんが農業を営まれている会津美里町という土地は、豊かな自然への敬意と共に人の生活がある美しい場所です。

バブル真っ盛りのころ。世界有数のブナ原生林が広がる奥会津の山々を切り開き、大規模リゾートの開発や産業廃棄物の最終処理場の建設計画が次々と立ち上りました。“一時的な開発ブームによって失われる自然は元には戻らない”と直観した地元・会津の人々は国や大企業を相手に森林保護運動を展開。最終的にはこれらの計画を踏みとどまらせて、会津の原生林や水源を守ることに成功。このとき森林保護運動に奔走した住民の一人が、無の会の創業者である児島先生です。
先生は、現代の化成農業が環境や健康に及ぼす深刻な影響に気がつき、“自然の循環と調和した農業を創らなくてはならない”と手探りで有機農業の道に足を踏み入れられました。
そして、10年以上の試行錯誤の末、雪国・会津の伝統農法に辿り着きます。かつては当たり前に行われていた、地域資源を堆肥に変えて循環させる農業の営み。そんな先生のもとに今、有能な若者たちが集い、未来に繋がる循環農法を研究・実践されています。


無の会の拠点でもある先生のお宅には様々な人たちがやって来きます。無の会の若者たちもここでみんなで朝昼晩ごはんを食べます。自分たちの育てた採れたて野菜と新米。私達も台所を使わせていただき、調理前の採れたて生野菜をかじっては嬉々として野菜そのものの味を味わいました。
さらにこの日は、今の時期だけ採れる稀少なシシタケ(香茸)ご飯を振る舞ってくださいました。香り高く新米と混ざり合って至極の幸せ。美味しいご飯をみんなで囲みます。


仕事が一段落した無の会の若者は、料理を目の前に両手を合わせ瞼を閉じ静かに祈りを捧げています。「いただきます」という、言葉と心と行為がぴったりと一致した合掌の姿。

この食事が食卓にやって来るまでの道のりは、日々の地道な野良仕事(本当によく働いておられるそうです)から、会津の肥沃な大地と人との長い長い歴史もすべて宿っています。

お料理・いただく行為・それを届ける自分自身全てに敬意を捧げ祈る心が養われます。

その湧き出る喜びをともにする人とのかけがえのない瞬間に、偉大なる感謝と刹那的に過ぎてしまう日々の尊さを感じます。

会津の地に来て、豊かな自然と美味しいお米や野菜をつくる人たちとの交わりから、Atlyaの活動の中心にある“食”がより生命力を増したような気がしています。

11月下旬からtsugugotocafeで提供しているお米は無の会さんの「福笑い」という希少品種。大粒で柔らかくスッキリとした味わいと上品な香りが特徴的なとても高級感のあるお米です。

ぜひ、作り手の想いが通ったお米を味わってみてください。